頭髪医療最前線 Vol.2
髪のみにあらず、健やかな身体作りと密接に関係を持つ「食」。近年の若者を中心とした食生活の乱れは、薄毛の若年化傾向において原因のひとつとも言われています。そんなヘアケアの基本とも言える「食」について、専門家でもある新線池袋クリニック・管理栄養士の小幡真希子様にお話を伺いました。
|
お話し 管理栄養士 小幡真希子様 聞き手 ヘアケア・オーソリティ 加藤 秋 |
- 加藤
- 本日はよろしくお願いします。
- 小幡
- よろしくお願いします。
- 加藤
- 本日は、髪と食との関わりについてお話を伺っていきたいと思いますが、まず、健康な髪の成長に必要となる栄養素とはどの様なものなのでしょうか?
- 小幡
- 髪の成長に必要な栄養素として代表的なものとして、亜鉛・ビタミンB郡・ビタミンEなどがあります。亜鉛やビタミンB郡はたんぱく質を合成する役目を持っており、ビタミンEには血行を良くする力があります。頭髪はたんぱく質から出来ており、毛細血管から血流をたどり栄養を得ていますから、亜鉛・ビタミンB郡・ビタミンEが髪にとって重要な栄養素だという事は、ご理解頂けると思います。
- 加藤
- なるほど、「ビタミンB郡と亜鉛」が髪の材料に対して、「ビタミンE」が髪の栄養に対して力を発揮するという事ですね。
- 小幡
- はい、そうですね。但し、各栄養素は代謝の中で関わりあっていますので、ビタミンB郡・亜鉛・ビタミンEだけ摂取すれば良いというものでもありません。様々な栄養素をバランス良く摂る事が大切です。
- 加藤
- それぞれの栄養素は、どんな食材から摂取できるのでしょうか?
- 小幡
- 具体的には下記の通りですね。亜鉛は牡蠣・ホタテなどの二枚貝や赤身の肉・レバー・納豆などに多く含まれて居ます。ビタミンB郡は、レバー・うなぎ・まいたけ・魚・卵・牛乳・モロヘイヤなど。ビタミンEは、ひまわり油・うなぎ・緑黄色野菜・アーモンド・落花生などで摂る事が可能です。
| 亜鉛 | ビタミンB郡 | ビタミンE |
- 加藤
- 実際の食生活において、それらの栄養素は十分に摂れているのでしょうか??
- 小幡
- そうですね、そこが非常に重要なポイントと言えるのでしょうが・・・。残念ながら十分と言い切る事は難しいかもしれません。というのも、1日3食バランスの良い食生活を心がけていれば、決して難しいものではないのかもしれません。しかしながら、現代人の食生活、特に若者の食生活においては、外食・お弁当・ジャンクフードでの食事の機会が非常に多く、バランスの良い食生活を送る土壌がありません。そういう意味では、食に対しての基本的な考え方を変える事が、とても重要といえるのではないかと思います。具体的にお話を続けます。まずは、ある30代男性の1日の食生活を例に、お話を進めてまいります。
| 30代独身男性 Aさんの1日 | ||
|---|---|---|
| 朝食 | 昼食 | 夕食 |
| 通勤時に立ち寄った、コンビニエンスストアで購入したサンドイッチ | 同僚と行ったそば屋で食べた、ざるそばとちらし寿司(小)のセット | 会社帰りにスーパーで買った、白身魚フライとお惣菜(卵焼き・筑前煮)のお弁当 |

- 小幡
- これが、ある男性の1日に食べた実際の食事の献立なのですが、厚生労働省から推奨されている1日あたりの摂取量に対して、亜鉛・ビタミンB郡・ビタミンEだけでなく様々な栄養素の摂取量が足りていません。この方の場合、「1日3食」という食の基本ルールを守っていながらにしてこの状況にある訳ですから、これが朝食を抜くなどの欠食となった場合には、更に各栄養素が足りなくなってしまいます。「1日3食」の重要性がお分かり頂けると思います。
| 30代独身男性 Aさんの1日 改善案 | ||
|---|---|---|
| 朝食 | 昼食 | 夕食 |
| 自宅で簡単に用意したパン食(パン・卵焼き・海草サラダ) | 社員食堂のランチ(ご飯、レバーと野菜の炒め物、青菜のおひたし、キノコの味噌汁) | 仕事帰りに立ち寄った定食屋での食事(ご飯、豚肉のしょうが焼、カボチャの煮物、野菜のごま和え) |

- 小幡
- ご覧頂いた通り、少し工夫するだけで非常に食事はバランス良くなります。今回の改善案を作るにあたり注意した点はひとつだけ、「主食・主菜・副菜」をきちんと摂るという事。特に個々の栄養素を個別に考える事無くとも、これだけ栄養のバランスは改善されるのです。実行するとなると、なかなか難しいかもしれませんが、やはり日々の積み重ねが大事ですね。
| 30代独身男性 Aさんの1日 改善案 | ||
|---|---|---|
| 主食 | 主菜 | 副菜 |
| ご飯・パン・麺類 | 肉・魚・卵・大豆料理 | 野菜・きのこ・いも・海藻・果物など |
| エネルギーを造るもの | 血や肉になるもの | からだの調子を整えるもの |
- 小幡
- 主食・主菜・副菜のそれぞれを、テーブルの前に並べるよう心がけましょう。そして「1日3食」、欠食の無い食事を心がけてください。
- 加藤
- 1日3食、「食の基本」はやはり重要という事なのですね。
- 小幡
- そうですね。この基本が出来ていれば、各栄養素をバランス良く摂る事も可能です。
- 加藤
- サプリメントの使用に関してはどの様にお考えになりますか?
- 小幡
-

サプリメントの使用に関しては、あくまで必要に応じてとお考え頂きたいと思います。 1日に必要な栄養素は、基本的に「主食・主菜・副菜」のバランスを意識した3食の食事で賄う事が可能です。ですから、可能な限り食事からそれぞれの摂取を頂くことが望ましいとされます。
しかしながら、若者を中心に外食偏重の生活習慣や欠食(1日1~2食)の傾向も非常に強く、その場合、仮に摂食時に「主食・主菜・副菜」のバランスを意識していたとしても、1日に必要な栄養素は摂取することが出来ません。その際にはやはり、サプリメントで必要な分を補充することとなるでしょう。帰宅時間の遅い仕事や一人暮らしなど、時として止むを得ない場合もあるのかもしれません。
- 加藤
- 可能な限りは食事の中から、難しい場合はサプリメントのサポートでという考え方ですね。
- 小幡
- はい、そうです。
- 加藤
- 本日は、分かりやすいお話をありがとうございました。
- 後記
-

髪と食の密接な関係、お分かり頂けましたでしょうか? もともと、日本人の食生活は「主食・主菜・副菜」の組み合わせが良く、バランスの良い食生活を送るには非常に適しているといえるでしょう。しかしながら、若者の「一日2食」を基本とする欠食の習慣、外食偏重の偏った食生活、それらを目の当たりにすると「バランスの良い食生活」は決して簡単なものでもありません。
更に、職場における労働時間の増加やそれに伴う帰宅時間の遅延、農業の変化に伴う含有栄養素の低下など「食」に纏わる環境の変化も決して無視する事は出来ません。偏に「バランスの良い食生活」といっても、決して簡単な事ではないのかもしれませんね。「可能な限りバランスの良い食生活を心がけ、必要に応じサプリメントにてサポートする。」髪の健康には、日々の心がけがとても重要なことなのです。


















