「男性型脱毛症(AGA)」とは、思春期以降の男性に生じ、前頭部の髪の毛の生え際が後退したり、頭頂部の髪の毛の量が減って地肌が露出しやすくなる症状を言います。では、男性型脱毛症(AGA)の原因とはいったい何なのでしょうか?
大きくは、「遺伝的・環境的要素」が挙げられますが、まず、「遺伝的要素」とは、よく言われる「ハゲの遺伝子」のことで、「母方の祖父がハゲていると、ハゲになりやすい」とは巷間言われていることですが、その原因となる遺伝子の詳細は、まだ科学的に明らかにされておらず、今後の研究の進展が俟たれるところです。
また、「男性ホルモンの過剰分泌」による影響も大きいとされていますが、これは、男性ホルモンの過剰な働きによって、ヘアサイクル(髪の毛が伸びては抜け、また新しく生えることの繰り返しのこと)が乱れて、髪の毛の成長期が短いまま終了してしまうことによって、抜け毛が増え、太くて長い毛髪が減り、細くて短い毛髪ばかりになってしまうことを指します。
一方、「環境的要素」とは、生活習慣・生活環境などによるもので、代表的なものとしては、たとえば「食生活の偏り」がそれにあたり、暴飲暴食が良くないのはもちろんのこと、無理なダイエットなどによる栄養不足も禁物です。偏った食生活が続くと、髪の毛が育つための頭皮の条件が整わないためで、特に、働き盛りの男性が好んで取りがちな「高カロリー・高脂質」の食生活は、髪の毛にとっても「最悪の条件」と言えるのではないでしょうか?体の中に余分な脂肪を行きわたらせ、溜め込ませてしまうことによって、血液を、血のめぐりの損なわれた、いわゆる「ドロドロ血」へと変えてしまい、髪の毛を作るための毛母細胞に栄養が行きわたらなくさせてしまうためです。
また、「睡眠不足」も良くなく、なぜならば、睡眠時間が足りないと、髪の毛を丈夫に育てるために必要な成長ホルモン(これは深い眠りに落ちないと分泌されないのです)がしっかり分泌されず、不足してしまうことが理由です。そのほか、現代社会に生きる人々にとってはなかなか避けがたいことではありますが、仕事上や生活上のさまざまなストレスも、髪の毛にとって良くなく、なぜなら、ストレスによって自律神経が緊張し、毛細血管が収縮し、血行が悪化し、毛髪へ栄養が行きわたらなくなるためです。
また、「姿勢の悪さ」も髪の毛に悪影響を及ぼします。職場でパソコンワークに従事する作業が大半だ、という勤め人の方は少なくないと思いますが、長時間同じ姿勢で居続ければ、首・肩・腰が固定されたままとなり、その部分の血流が悪くなり、首・肩・腰の血流が悪くなれば、その結果、頭皮への血のめぐりも悪くなり、髪の毛を育てるための栄養分も行きわたらない、という仕組みで、一見頭皮とは関係なさそうな首・肩・腰にも、注意が必要なのです。
これら「環境的要素」とは、ふだんの生活のあらゆる局面に原因がある、と解釈できることがおわかりいただけるかと思います。逆に言えば、「正しい生活習慣」を身につければ、それこそが、髪の毛にとって良い習慣になる、とも言え、食生活においては、タンパク質(魚・肉・卵・大豆)、カルシウム(牛乳・乳製品・海藻)、カロテン(緑黄色野菜)、ビタミンC(淡色野菜・果物)、糖質(米・パン・麺・いも類・砂糖)、脂質(油脂類)の6つの食品群から、バランスよく食材を選び取ることが必要です。特に現代人は、糖質・脂質の摂り過ぎに注意しなくてはなりませんし、過度の飲食も控えましょう。
そして、ストレスの多い現代社会ですが、ストレスを溜め込まず、充分な睡眠を確保しましょう。遺伝についてあなたのできることは少ないかも知れませんが、生活習慣は変えられますから、まずは生活習慣を変えることから始めてみるのはいかがでしょうか?